西村・柳橋・塩屋・原田

 太平洋中区の栽培漁業の事業化を目標として、主要水産生物の生態、種苗放流の効果予測等を究明するための基礎資料を得る目的で前年度に引続き調査を行った。
 マダイに関する調査:幼魚の成長はY=0.724X+62(6~9月)で表される。成魚の鱗紋を再検討し前報のr1、r3を偽年輪とし削除した。鱗を用いた年令査疋と成長の関係はLt=780.9(1-e-0.1301(t+0.7376))を得た。産卵期は生殖腺熱度係数及び組織学的検討により3~5月中旬と判断した。産卵魚は4才以上である。
 イシダイ・イシガキダイに関する調査:伊豆諸島大島を中心に発育段階別の分布生態,食性を調査した。浮遊期稚魚は6~8月、流れ藻付随期稚魚は5~9月に出現した。イシダイは尾叉長50mm、イシガキダイは70mm以上で定着する。放流魚の遠域への移動は少い。発育段階別の食性は両種に共通性がある。イシダイの産卵は7~8月と推定された。
 47年度(1972)以降調査結果:マダイ・イシガキダイの漁場環境,漁業生産の実態,資源生態につきとりまとめた。
 栽培漁業の展開に関する検討:具体策として天然種苗の確保を第一とする。

研究要報115(1975,3)

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