病害研究報告書(ニジマス)49指定研究
原・井上・村井

 1974年度中に都内養殖池に発生した疾病は、ニジマス稚魚ではIPNによる被害が大きい。春より夏にかけて原虫類寄生による被害が年々大きくなり、飼育魚全般に水生菌による被害が大きい。アユ稚魚に耐生菌によるビブリオ病が発生した。
 IPNの予防のためヨード剤(PVP-1)をニジマス稚魚に経口投与した。5%、10%投与区は対照区より生残率は低くなり、成長も悪くなった。
 ヤマメのせつそう病に親魚を用いワクチン(5種)の接種試験を行い、自家製・メーカー製ワクチン接種区は対照区に比べ生残率は高かった。0年魚に経口ワクチン投与試験を行った結果、ワクチン区は生残率が高かった。
 せつそう病の原因菌の感受性をディスク法により実施した。4株共サルファ剤・抗生物質・フラン剤に感受性株であった。又治療試験をトリメトプリムとサルファ剤の合剤で実験したが、前者とスルファドキシンよりもスルファダイヤジンの合剤の方が効果的であった。
 ヨード剤ダイヤザン、イソジンを用い、PH調整により殺菌効果を実験した。両者はPHの変化と殺菌効果は異った。又発眼卵と稚魚への影響は、後者は卵の消毒に有効で、稚魚に対するTLmは0.60と0.45ppmである。

研究要報113(1975.3)

 

 

病害研究報告書(温水性淡水魚)49指定研究
伊藤・高橋・川名・中村・斎藤

 「穴あき病」の特徴は、皮膚に限って欠損し、患部は軽い充血または出血を伴ない、直接この病気による死亡率は低く、伝染し易い疾病である。発病部位をキンギョの体を区分して調べたところ、出現率で前から35、93、91、235%と頭部に少なく後部に多かった。
 感染発病から患部の拡大、治癒に至る過程を、症状から、初期を鱗一枚の白濁とかるい充血および表皮の壊死まで、中期を真皮の壊死および鱗の脱落まで、終期を真皮が剥離して筋肉が露出した時の3期に分けた。水温20°Cで感染後筋肉が露出するまで10~15日で、28℃で患部が完全にふさがるまで10~20曰を要した。Epistylisおよび真菌類は原因生物ではないと判断した。
 病魚を用いた感染実験で水を介して、および接触により伝染発病がみられ、病原生物として細菌が考えられた。
 病魚患部より細菌の分離を試み、仕分けられる細菌の数は中期に多かった。復元実験で9株に病原性が認められた。主原因菌と思われる菌(U-4株)がみつかった。
 治療実験として、昇温・薬浴・経口投薬を試み、昇温は25~30℃で効果が認められ、薬浴・経口投薬でも効果が認められた。経口投薬のみでは持続的免疫性はほとんどない。

研究要報113(1975.3)