長谷川ほか(温水魚研究部ほか)

 多摩川河口への椎アユの回遊が近年増加する傾向がみられるので、アユ資源の拡大再生産を促進するねらいで、下流部の効果的な魚道の基礎資料を得るための調査を行った。調布取水所防潮堰に付設されている魚道を対象とした。
 堰堤の概要、魚道の構造等を資料、実測により調査した。魚類の遡上及び降下状況は捕獲カゴを魚道内に設置し、連続観測を行うとともにアユの遡上とマゴイの降下状況をみるため標識魚を放流した。
 堰は堤長94.0mで閏門、水門2門がある。魚道は左岸に第1、中央に第2の階段式2道がある。第1は全長37.9m、勾配1/15、第2は25.0m、1/10で各8段である。
 魚類の遡上状況は1981年度は5月に第1魚道で2回調査し、それぞれ8種30尾、4種43尾が採捕されたが、殆んどが昼から日没にかけての時間帯であった。1982年度は7月に実施、第1魚道で6種8尾、第2魚道で2種3尾を採捕した。採捕されたアユは3尾・5尾で全て標識アユであった。これにより遡上時間が推定できた。
 降下状況は1982年度7月に調査したが、第1で3種33尾、第2で5種33尾であった。採捕されたマゴイ27尾は全て標識魚であった。
 魚道の遡上魚の誘導機能と流速が問題点である。

研究要報163(1983.3)

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