古井戸・梶沼・塩屋・稲葉

 漁場の荒廃により漁業がひっ迫した状態に陥っているので、漁業振興対策に資するための調査を行ってきた(その一~三)が、本年は水質・底質・プランクトン・底生生物の調査を実施した。
 全域調査は1957年8月実施したが、水温・塩素量からみて沖合底層部に沖合水の張込みがみられ、PHも低い値を示している。沖合上層部のPHが高いのは植物性プランクトンの影響とみられる。港奥部の下層酸素飽和度の低いのは目黒川・東京港内の水質汚濁と関連があると考えられる。COD値は江戸川河口等の一部を除き全域上層部が下層部より高い。プランクトン量は羽田州沖から導流にかけて濃密で、底生生物はサルボウが最も多く出現し、5m線以浅にみられた。
 定点観測として導流より西側4点を毎月1~2回水質・底質を調査した。
 潮間観測は西部の貝類養殖場で8月に全域調査項目の他潮流・水中照度を加えて一昼夜の調査を実施した。沿岸部調査は沿岸部の汚染状況を知るため10月に実施したが、沃素消費量・COD値等から目黒川から大井競馬場沖にかけて汚染が著しかった。
 干潟部底質調査結果、貝類漁場においては貝類生息量とHumus量の問に相関はなかった。

研究要報14(1958.3)