倉田・清水

 小笠原諸島におけるイセエビ属の漁業生物学的な調査を行った。1968~1971年の3年間に採捕又は市場に水揚げされたものを材料とした。
 出現種と出現割合は、カノコイセエビ83%、シマイセエビ16%、ゴシキエビ1%、ケブカイセエビ(稀)であった。漁法はカギ取りとエビかごにより、漁獲量は返還後増加している。
 力ノコイセエビは平均体長31.2cm、体重1,183gで雄が大きい。体長(BL)と体重(BW)及び頭胸甲長(CL)の関係はBW=0.4560BL2.9268、CL=-2.0407+0.4129BLである。抱卵率は7月39~47%、8月100%、9月67%であった。抱卵数(D)と体長の関係はD=-52.986+4.0283BLで、生物学的最小型の理論値は13.2cmである。雌雄は異型で、冑内容物はウニ・巻貝が多い。
 シマイセエビは平均体長37.1cm、体重1,482gで雄がはるかに大きい。ゴシキエビ2個体(♀)の平均体長28.8cm、体重440gであった。ケブカイセエビ(♀)の体長は22.7cmであった。

研究要報105(1974.3)

105.pdf [1702KB pdfファイル]