倉田・梶沼・三河・古館・飯村

 1953年10月より内湾にヒトデが異常発生し、貝類その他に大被害を及ぼしたので、実態の調査・駆除及び利用方法等を検討した。
 ヒトデ群の来襲状況:1953年10月下旬に内湾西部沖合部でヒトデの大群を発見し、1ヵ月後羽田州、2ヵ月後に葛西三枚州に移動来襲し、1954年4月~6月主群は再び沖合へ移動した。駆除は1954年3月実施され、駆除量約23万貫で、方法はカキ桁が最も効果的であった。
 ヒトデの形態・生態観察:群の主な腕長は60~80㎜で1令群と考えられ、襲来は産卵前の索餌移動である。満1年で成熟、産卵期は2~4月、生物学的最小型は腕長36㎜である。浮遊して移動する新知見を得た。食性は底生動物と関係深いが、選択性はない模様。食害を受けた貝類は12種、アサリ・イソシジミ・ハマグリが最も多く、被害貝類は約6.1万石と推算された。アナゴ延縄に釣獲される他、釣獲アナゴを食害して、この漁業に被害を与えている。
 ヒトデの含有窒素成分:肥料価値について分析した。委託実験
 ヒトデ利用に関する研究:飼料化の試みとして醗酵処理法で実用化の見込みを得た。委託試験(玉川大学 多田他)

研究要報1(1954.10)

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