高橋・中村・森

 「穴あき病」を潰瘍性の欠損が皮膚に限って生じ、患部に充血・うっ血・出血をともない死亡率の低い疾病として取扱い。1974~1976年の3年間の研究を総括した。
 病魚の発生状況は都内ではキンギョに1971年にみられ、1975年に最大となった。多摩川・皇居外壕にも皮膚潰瘍性疾病が各種の魚類にみられた。
 疾病の特徴として患部の位置は躯幹部の後部に多い。病気の進行過程を7段階、治療過程を7段階に分けることができた。病魚の皮膚患部・腎臓等の組織標本を作成した結果、腎臓の病変は認められたが、本病の特徴か否か明らかでなく、患部の観察では鱗に接して破骨細胞と思われる多核巨大細胞が顕著にみられた。血液性状は各種分析したが、健康魚と有意差は認められなかった。
 原因追求のため感染実験を行い、水を介して、又は接触により感染することが分った。病患部の鱗を健康魚の鱗下に挿入する方法で人工感染ができた。病魚から細菌の分離を試み、復元実験をした。血液・腎臓・患部よりAeromonas菌が分離されたが、原因菌を別と考え培地を変えて再度実験した結果、初期症状に近い症状を起す数種の菌が分離された。
 予防方法としてニフルスチレン酸ソーダの薬浴効果を認めた。治療は昇温が効果がある。

研究要報129(1974.3)

129.pdf [2803KB pdfファイル]