田中・井上・河西

 前報(研究要報142)では魚病病原体に対する消毒薬の効力評価について細菌の場合の実施法の検討を行ったが、本年度も引続いてAeromonas salmonicidaに対する石炭酸係数の実施法及び手順の検討と界面活性剤系の消毒薬の同菌に対する評価を行った。
 石炭酸係数測定用の標準株を選定するためATCC14174株とNCMB2020株の他98株を用いた。石炭酸を6濃度として20°Cで48.72時間培養後発育状況を観察した。供試菌株の88%が150倍から170倍の値を示し、石炭酸に対する菌株間の感受性の相異は少ない。ATCC14174株は他の野性株との間に大差がないので標準株に選定しても問題はないと考える。
 せっそう病石炭酸係数の測定手順について準備・方法・係数算出法・係数の問題点等を記した。
 界面活性剤系の消毒薬の同菌に対する効力を知るため第4級アンモニウム塩4剤とこれらを主成分とする市販薬7剤を供試した。前記の方法でA. salmonicida及びStaph aureusを試みた結果、後者に比べ前者に対する供試消毒剤の殺菌効果が明かとなった。第四級アンモニウム塩はA. salmonicidaに対し高い殺菌効果を示した。

研究要報148(1981.3)

148.pdf [1304KB pdfファイル]