山峯・三村・広瀬・塩屋・伊藤・倉田・三木・西村

 伊豆諸島の漁業上重要資源であるフクトコブシを重点として、磯根漁場の生産管理方式を樹立するため、大島差木地に調査区域を設け、環境・放流効果・フクトコブシの生態等を調査した。試験区は一辺20mの正方形を等分に16区画し、潜水により動物・植物相を精査すると共にフクトコブシは採捕後、標識して再放流して移動・生長等を調査した。
 調査区域のフクトコブシはキクスズメの寄生が多い。移動範囲は小さく、5~6月に比し台風による波浪の影響を受ける7~10月が石の動きに応じ移動がはげしいものと思われる。7~10月は殼長40mm以下の個体の成長がよく、40mm以上では成長が悪い。肥満度は9月、11月に最も低く、12月になると急激に回復する。生物学的最小型は殻長31mm位と推定される。フクトコブシは玉石に着生する小型の海藻を食べており、冑内容物量は9月に著しく減少する。

研究要報57(1967.3)

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