大島分場(草苅ほか)

 沖合定線調査は大島~鳥島間(J線)4月、2月に10側点、勝浦SE線(I線)10月に7測点、水深0~600mの13層の観測を行った。地先定線調査は大島~御蔵島近海19測点を毎月1回水深0~400mの11層を観測したが、11~2月の間延5点の欠測が生じた。
 本年の伊豆諸島近海の海洋の特徴は、春期に冷水域に覆われ、低温であったが7月中旬に消滅し、8月に再び冷水域が遠州灘沖に発生し、10~11月列島線上まで東進した。夏期は水温が高目、秋には低目となった。冬期は冷水域の勢力が弱く、平年より高目であった。
 魚類卵はマル特Bネットで例年に比べ多く出現し、マル稚ネットでは本調査始まって以来最も多く出現した。サバ卵も過去における多い年の2.5倍と驚異的に出現した。
 主要魚種の漁況:サバは低温により漁期が遅れ、2月中旬より本格的な漁となり平均l曰1隻6~8トンで主漁場は銭州NE付近であった。4月上旬に漁場が北上し、魚群が分散して漁況は悪化し、例年より半月早く終漁となった。ムロアジは6月中旬三宅島周辺海域で操業が始まり、7~8月にかけて漁場が新島・神津島・式根島海域へ移り、ほぼ5~7トンの漁獲があった。10月中は10トン前後になったが、11月以降低下し、12月下旬終漁となった。

研究要報102(1973.3)

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