小堀・田中・原・清水・井上・飯村

 1972年度中に都内の養魚池に発生した疾病は、11種で被害の大きかったものはIPNと白点病で、春期に原虫類の寄生の増加傾向がみられ、水カビの寄生もみられ、肝腫瘍も前年より増加した。
 IPNの予防のため抗炎症および抗プラスミン剤の投与効果と投与量との関係を知る目的でニジマス稚魚を用いて試験した。抗炎症剤・抗プラスミン剤ともに前年より生残率が低く、カゼイン飼料区は高かった。病理組織学的には膵臓・腎臓・肝臓に病変がみられた。
 IPNに対し予防投薬によって生残率の向上を期待して薬剤投与試験を行った。ニジマスの稚魚ではキシリトール・FM-1-1は対照区より生残率が高く、グルタチオンでは低かった。
 せっそう病予防のためワクチンの接種試験を行い、本年度はワクチンの比較・放養密度による比較・魚種による比較などについて検討した。在来マスでは多価ワクチンも単価ワクチンも生残率に差はなく、放養密度は低い方が生残率は高くなる傾向がみられ、飼育歴の永いほど生残率は高くなる。せっそう病治療試験でクロラムフエニコールの治療効果は6年前と全く変化がなかった。

研究要報99(1973.3)

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