91-1.漁場改良造成事業効果認定調査報告(その9)
漁場改良造成事業の経過と実績

技術管理部

 東京都管内の築磯事業(投石)は1953年度より開始され、1963年度以降は沿岸漁業構造改善事業の一環として継続された。1970年度までの年度別の事業の詳細を表として掲げた。

91-2.漁場改良造成事業効果認定調査報告(その9)
八丈島のテングサ増殖に関する基礎調査(その2)

三木・中山・北条

 八丈島におけるマクサの成長時期と水温の関係を、三根神湊で試験区と対照区を設け、毎月1m2の枠取りによって調査した。草量の増加の月変化は3~6月に多く、8~11月が最低を示し、12月に増加するが、最も増加する月平均水温は16~23℃の範囲である。
 マクサの草量(X)と草長(Y)の関係を前記と同様の枠取り調査からみると、大賀郷前崎では草量1.0kg以下ではY=1.1038X0.2950の式が成りたつ。三根神湊対照区ではY=8.804X+6.58の直線式となる。
 投石に着生したマクサと前崎天然礁のマクサについて年度別に四分胞子体と果胞子体の出現比を調査した。四分胞子体の年間出現傾向は投石投入経過年数に関係なく、ほぼ同様な傾向がみられ、天然礁とも同傾向である。巣胞子体の出現比は投入各年度のものと天然礁で7~9月に年間最高を示し、他の時期は低い値であった。

 

91-3.漁場改良造成事業効果認定調査報告(その9)
三宅島のサピテングサについて

三村・倉田

 サビテングサの呼称は三宅島坪田地区の漁業者の問でよばれている茶褐色化したテングサ原藻のことで種名ではない。製品にしたとき汐赤のままではゼリー状に凝固しないが、さらしにすれば5等級品となる。
 サビテングサの着生場所を潜水により目視と採取によって調査した。着生場所は坪田前浜地先「ナゴラ」とよばれている水深5~7mの一帯で、海底の湧水のある場所である。種類はオオブサであった。
 サビテングサを分析し、その性状を調査した。汐赤ではサビ以外の対照や5等級品に比べ、天分・ゼリー強度共に低いが、さらし処理した場合、粗灰分・天分・ゼリー強度共に高くなる。

研究要報91(1971.3)