高橋・斉藤

 八丈島のテングサ生産が漁家経済に占める割合は近年減少傾向にあるとはいえ、依然重要な資源である。そこでテングサの生態、豊凶要因等について調査した。
 産業的に重要種はマクサ・オニクサ・オオブサ・オバクサ属で生育層はオニクサは低潮線、オオブサはこれから5m、マクサは15m付近まで分布する。島周辺は各漁場により分布種も異なっている。
 テングサ類の豊凶と諸要因をみると、水揚量は11~12年の周期があるようで、水温(神湊)との関係では3月下旬~6月下旬における旬別水温が平均より低い年は豊作になる傾向がある。他の生物との関係では石サンゴが形成されるとテングサの繁茂が阻害されるようで、トビウオ・クサヤモロでは明確な関係は認められなかった。
 漁場を南西側と北東側に分けてみると水揚量は19:81となるが、年により変り近年後者の優位は減少している。海底地形を類型化してみると種別に繁茂場所がほぼ定まっており、北東側はマクサの繁茂に適した地形となっている。また水温分布からも低温で有利な条件にある。
 試験区で坪刈の結果、成長の頂期は17℃台が多く、とり残したマクサの回復力は非常に強かった。胞子形成率の特異性が判明した。

研究要報66(1968.3)

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