35-1.ポリエチレン人工魚巣の実用化について

松本・鈴木・高橋

 前報(要報31.1962)に続き、キンギョモに代る材料としてポリエチレンテープを用いて実用化をはかるべく試験を行ったポリエチレン魚巣は100~200本を-束とし、キンギョモ魚巣は600~700本を一連として使用し、卵の計数をして比較した。
 卵の付着状況からみてポリエチレンの遜色は全くなかった。死卵率はポリエチレンが低く、又水質からみても両魚巣区の間で溶存酸素・PH・全炭酸及び水温に差がみられた。これらはキンギョモの代謝による他、両者の形状の相違による水の流通、日照効果の相違にアオコの代謝の変化等に影響したと考えられる。
 実用になることが判明した。なお今回の形状では手間がかかるので改良の余地がある。

研究要報35(1962.6)

 

35-2.循環濾過式飼育装置について

松本・鈴木・高橋・野本

 ソウギヨの集約的種苗化を目的として飼育面積約33㎡の標記飼育池を建設した。装置は循環飼育池・浄化槽・高架水槽・ポンプ室から成り、水族の観察が可能なこと、取はずしのできるサラン・フィルターを設けたこと、循環池のまん中に水を-回りさせるための仕切り(くもりガラス)を設けた等の特徴を有するものである。
 試用の結果、卵のふ化、仔魚の育成には好調であるが、前期の稚魚期に多量の減耗をきたした。
 原因については明らかにできなかった。

研究要報35(1962.6)

 

35-3.循環濾過式飼育装置によるソウギョ・レンギョの種苗化試験

高橋・小林・吉田

 1961年水元分場に設置した循環濾過式飼育装置を用いてソウギョ・レンギョ卵のふ化飼育試験を行った。江戸川で採集した卵を用い、餌料にはコロミール・強化離乳食・養鱒用完全配合餌料を用いた。ふ化は2回とも順調で、室内水槽でみられた仔魚の趨光性はみられなかった。餌料については3種共に初期には攝餌したが、配合餌料では4日目頃より死亡するものが続出し、不適と判明した。離乳食が最もよく、コロミールは、歩留りはよくなかったが成長はかなりよい。

研究要報35(1962.6)

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