小西・草苅

 八丈現業所における1920年以来の沿岸観測記録及び八丈島のハマトビウオ漁業記録等を用いて漁況と海況との関係を解析した。
 旬別のCPUE(1日・1隻・1反)からみると最も漁獲の多い時の水温は19.21℃±2.03℃であった。旬別のCPUEと総漁獲尾数は有意の相関がある。
 高温・高かん年又は平年並に回復した年に豊漁年が現われ、低温・低かんの年は不漁年となり、豊凶は7年間隔で出現する。1日1隻当りの平均漁獲尾数を5日毎の移動平均し作図すると曲線に3つの峰がみられ、峰の間隔は14日が多い。
 1950年から1955年の八丈島・三宅島・神津島・新島・大島の1日1隻当り平均漁獲尾数の5日毎の移動平均を作図するとそれぞれ3つの峰がみられる。これを3群と仮定し、各峰の各島間の時間・距離的関係を考察すると低緯度の水域や南北に近接している場合は群の移動は速く、北西への移動は遅れる。島が相互に近接する場合は、漁獲尾数は反比例する。
 上記漁期間のCPUEは三宅島が最大、八丈島が最低で、漁期と漁場は南より北へ移る。
 漁況は黒潮の流軸と関係が深い。月令と漁獲量の関係は上弦を中心とした1週間に漁獲が多い。

研究要報6(1957.2)

6.pdf [8153KB pdfファイル]