村井・青木・木村

 マダイの早期大型種苗生産のため、本年度は神奈川県より輸送した親魚(前年は受精卵)から採卵・ふ化・沖出し育成を試みた。
 前年10月輸送後、小笠原父島で飼育したマダイ親魚の翌年産卵を確認した。陸上池に収容してから12日目の3月7日より産卵し、5月18日まで毎曰採卵できた。ピークは3月中旬~4月上旬であった。総採卵数は約2,270万粒で平均浮上卵率83.1%、ふ化率94.6であった。沖出し後7月9日には平均全長63.2mm、体重4.5gとなった。
ガラスシャーレを用いて、マダイ受精卵の簡易輸送法を検討した。シャーレ1枚あたり海水2~8ml、収容可能卵数約1,300粒で輸送時間が30時間を越えなければ70%の生残率が得られることがわかった。
 沖出し飼育後、大型個体(全長79.9mm、体重10.5g)2,540尾を選別して、伊豆大島まで船による長時間輸送を行ったところ、生残率99.7%と良好であった。養殖用種苗として利用可能なことがわかった。

研究要報168(1983.11)

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