石川・米沢・伊東・長沼・小沢・皆川ほか

 伊豆諸島の基幹漁業であるハマトビウオ流刺網漁業の省力化と操業の安全をはかる目的で、本年度は昼間操業用漁具漁法の開発に関連して、ハマトピウオの生態、アミランとテグス網の効果比較試験等を行った。
 生態調査で雌魚の出現率は鳥島で10~18%であったのに対し、青ヶ島~御蔵島では26~44%と高い値を示す場合と0~2%と低い値を示す場合とがあった。卵成熟段階を前報に従って分類したところⅢ期・Ⅳ期(放卵後)・I期の順で多く出現した。
 八丈島と青ヶ島周辺で稚魚ネットを用い卵と稚仔魚の分布を調査し、いずれも八丈島周辺で採集できた。採卵用人工藻と潜水により八丈島の岸近くの中・底層において卵を採集した。八丈島近海の表層における魚群の分布密度は19~21時台と01~05時台にピークが出現することが多く、07~12時台は低密度であった。
 昼間操業の場合、アミラン網とテグス網の羅網効果に有意差はなかった。浮子綱捲揚機導入試験でS-3型コーンローラーを原型として3次にわたり改良型を作製したが実用化に至らなかった。

研究要報167(1983.9)

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