90-1.小笠原諸島水産開発基礎調査報告 Ⅱ
小笠原諸島の魚類相と漁獲量の傾向

倉田・三村・草処

 魚類相は潜水観察・採集の他、指導船「あずま」・「興洋」と漁船の水揚げ標本等によった。調査は1969~1971年の5~7月、聟島・父島・母島・火山の各列島について実施したが、火山列島は1970年のみである。
 魚類目録をかかげたが、94科381種となった。最も種類の多い科はチョウチョウウオ科40種、次にスズキ科37種(うちハ夕類35種)・ベラ科26種・スズメダイ科22種・ニザダイ科17種・アジ科15種・フェダイ科13種・モンガラカワハギ科11種・サバ科・クモハゼ科・フグ科の10種でその他の科7~1種である。

90-2.小笠原諸島水産開発基礎調査報告 Ⅱ
底魚・磯魚一本釣漁業調査

枡内・今井・佐藤

 小笠原諸島周辺の漁業資源調査の一環として父島周辺沖合・沿岸域において釣獲により漁場・魚種等を調査した。1969年7月に「巽出漁場」で、10月に父島列島の各島の周辺漁場で底魚一本釣漁具またはアカハタ釣具を用いて釣獲した。
 釣獲魚は7種19尾で、重要魚種はオオヒメ・キダイ・ハマダイ・カンパチ・ホウセキハタであった。これらの釣獲場所は既知の漁場である「ウサギの耳出し」に限られていた。
 底魚の消化管内容はオオヒメがサルパ、キダイが魚類、ハマダイが小型イカであった。磯魚ではおおむね底生の貝・カニ・ウニであったが、アカハタは魚類であった。


90-3.小笠原諸島水産開発基礎調査報告 Ⅱ
底魚延縄漁業の一事例

倉田

 小笠原近海での底魚延縄漁業は第二次大戦前に試験的に行われた。今回C.GKKの所属船が小笠原近海で底魚延縄漁業を行った資料が入手できたので紹介する。
 1970年12月~1971年1月、母船703トン、漁艇6隻、1回25鉢、1隻の操業回数6回、延縄の長さ31kmで操業。漁獲量2975kg、キジハタ1707kg、キダイ256kg、ヒメダイ270kg、アズキハタ208kg。


90-4.小笠原諸島水産開発基礎調査報告 Ⅱ
小笠原諸島の現況と問題点

阿部

 1970年10~11月小笠原の漁業の現況を調査し、問題点を摘出した。
 底魚一本釣:利用されている漁場は「巽出し」と「東島沖」が主で、ハマダイ・ヒメダイ・レンコダイが主漁獲物となっており、実働漁船は7~8隻である。漁具、操船方法の改良と捲揚機の導入が必要であろう。
 ムロアジ棒受網:父島周辺で5~6隻が操業しており、漁具・操業法に改良点を認めた。
 小笠原島漁協の概要を記した。

 

90-5.小笠原諸島水産開発基礎調査報告 Ⅱ
父島二見港内水温定置観測

草処

 1969年7月りよ'970年12月までの観測結果を記載した。

 

研究要報90(1971.3)

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