156.マス類の伝染性病原体の消毒法に関する研究
田中・井上・池谷
1979.1980年度は主としてせつそう病菌石炭酸係数を求めたが、本年度は石炭酸係数法では効力試験成績が不安定で再現性の低いハロゲン系消毒剤についてAOAC法に基づく効力評価とニジマス糞便を使用し有機物添加による消毒剤の効力評価等について試験した。
消毒剤は塩素系次亜塩素酸ナトリウム・ヨウ素系イソジン・ダイヤザンをリン酸緩衝液により希釈し、Aearomonas salmonicida及びStaph aureusによる効力を試験した結果、この3剤はそれぞれ100・50・50ppm液が両菌に対して同程度の効力を示した。
消毒剤の活性阻害要因として環境中の有機物があげられるが、ニジマスの糞便の濃度別による影響を調べた。A. salmonicidaを供試し、消毒剤としてダイヤザン(ヨード)・北研ゼット(逆性石せん)・テレメス(両性石せん)を用いた。前2剤は糞便の添加濃度に従い殺菌時間は長くなり、糞便を加えない場合は3剤とも1分後には菌は検出されない。また各種の消毒剤の経済性を検討した。
魚類ウィルスに対する消毒剤の効力評価試験を実施した。供試ウィルス液の調整法検討、IHN・IPNウィルスの増殖曲線と細胞内ウィルス回収に適する培養時間の推定、IHNウィルスに対する消毒剤の効力評価に使用する細胞の選択等につき試験した。
研究要報156(1982.3)
