神崎・吉野・塩屋・伊藤・稲葉

 水質汚濁、埋立によるノリ漁場衰退対策として養殖場の沖出のための養殖法を確立するため、太田区地先水深7mの個所(養殖場の沖合)で試験を実施した。
 養殖方法はいかだ式2方法と従来からの支柱方式(水平ひび)を対照として設けた。いかだ式I型は1954年以来改良してきたもので杉丸太2ツ割に樫棒の支柱を立て、真竹で連結していかだとしたもので、コンクリート錨で海底に固定した。Ⅱ型は真竹で枠を組み、枝付もう宗竹を2列に並べ、錨はI型と同様とした。
 I、Ⅱ型共に連結用の針金の腐蝕等による修理個所が生じ、種々改良点を生じた。収穫はI型が対照よりやや収量が少なく、Ⅱ型はタネ付が不良のため収穫皆無であった。
 I型と対照との経済的な比較は、I型は経費で2倍、労力でも4倍強を要することが判った。今後の改良により実用化の端緒を得た。
 付録として都水域の昭和初期のノリ沖合養殖試験実施経過及び従来各所において行われたノリ沖合養殖試験又は事業の概要を記録した。

研究要報19(1959.12)

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