阿部・小西・今井・阿部・三村

 漁業経営の安定を期しムロアジ漁業の総合調査を実施しているが、その一貫として1956年の結果を報告する。指導船都南丸の調査、漁船の調査表による記録等の資料により検討した。
 1956年の漁況は大島近海で8月中旬に漁獲が始まり9月上旬盛期となった新島方面では5月好漁後6月がなく、7月以降11月初旬まで続いた。水温は上・中層の温度差が少ない程漁獲がよい。1956年の豊漁は黒潮と冷水塊の接する潮目が大島・新島近海に長期間存在したためと考えられる。ムロアジ及びサバの魚群の組成を知るため体長・体重・肥満度の調査を行った。
 魚群探知機による調査によれば、大室出し漁場では魚群密度が大で浮上率のよいのは潮流にかかわらず岩礁地帯の潮上に当る部分で、深海部から浅瀬になる傾斜面である。又魚群はほとんど15~80尋の問に生息している。
 経済実態調査として地域特性、漁獲高と単価の変動、地域トン数別の乗組員収入、漁船のトン数別漁獲高等の検討を行った。
 都南丸で魚探・方探を利用し魚群探索に効果を挙げた。又アミラン漁網による試験操業でその得失を明らかにすると共に蝿による代用餌料試験を行ったが、十分な成果は得られなかった。

研究要報17(1959.3)

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