岡村・米山・井沢ほか(大島分場・水産課)

 神津島にイセエビの生育に適した環境を土木工法により大規模に造成するための事前調査で1982年度結果に1983年度分を加えてとりまとめた。地区の漁業の概要、調査地区の選定理由は前報(研究要報165.1983.3)と同様である。
 環境調査は前報に加え、地質・底質等をとくに詳述した。地層は3層に分けられる。底質は沿岸部は岩で沖合は中~粗砂が分布する。
 生物調査では前報からプエルルス・椎エビに関して幾つかの新しい知見を得た。プエルルスの出現期盛期は8~9月で、水深10~16mで年間0.576尾/㎡が着定すると推定した。椎エビは第Ⅰ期が多く、第Ⅱ期は少ない。
 増殖場造成手法の基本的な考え方として、プエルルスの集積・着底を促進し、その後の生残率を高め資源の増大をはかることとし、具体的な方法として、プエルルスの着底・集積場及び餌料の供給場としてヒラクサ場造成と初期椎エビヘと連なる造礁計画がより効果的と判断した。

研究要報172(1984.3)

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