倉田・枡内・木村

 小笠原のアオウミガメ放流試験の回帰率向上をはかることを目的とした。
 種苗生産:採卵用の親ガメは27頭で甲長84.8~93.7cm、体重98~163kgであった。産卵期は5~8月中旬で盛期は7月下旬、採卵数は18頭で延57腹から6,071粒であった。埋卵は深さ70cm、直径25~30cmの穴を用い、ふ化は地中温度日平均29.8°Cで平均53日であった。ふ化率は産出卵63.0%、胎内卵86.1%であった。
 新らたな方法としてふ化箱を利用したふ化試験を行った。発泡スチロール製で通気性をもたせるため穴をあけた箱で、天然産出卵15箱、水産センターでの産出卵2箱に収容した結果、ふ化率はそれぞれ79.3%、75.9%であった。本方法にはまだ問題点も多いが、適切な管理技術が確立できれば、有効である。
 放流は稚亀4,013頭をふ化後1週間以内に行った。又放流効果をみるため過去の毎年の放流頭数と5・6・7・8年後の捕獲頭数から相関関係を調査した。
 資料として「アオウミガメの増殖経過と実績」を付記した。小笠原の漁業の歴史・増殖事業・生活史等を記載した。

研究要報149(1981.3)

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