小堀・田中・原・青木

 1970年度中に都内養殖池に発生した疾病は12種類であった。IPNが発生し、最も被害が大きく、原虫類の寄生が増加し、カラムナリス病は少なかった。栄養性疾患もみられ、湖水においてキロドネラ病により多数のフナがへい死した。
 IPNにより春稚魚が大量Iこへい死し、硫酸銅浴を行ったものは無処理に比し死亡率は低かった。発病後に抗菌剤を投与しても無効であった。
 せつそう病ワクチン接種試験でヤマメのワクチンを不活化する方法を検討し、生残率を比較した。ホルマリンは濃度が高くなると生残率は減少、マーゾニン、加熱によっても差はない。ワクチン接種区は生残率が高い。
 経口投与によるせっそう病の予防をヤマメ稚魚で検討した。ワクチン投与区は対照区より生残率が低く、効果は否定的である。
 せっそう病の治療試験としてニジマスを用いて市販薬剤の試験をした。ナリジキシック酸・チアンフエニコールの治療効果は大きい。
 ニジマスを用いスルファモノメトキシンの温度差による薬浴時の吸収と排泄を検討した。吸収は明らかでなく、排泄は水温が上昇すると速くなる傾向がみられた。
 ニジマスにおけるニフルピリノールの薬浴による組織内濃度を検討し、組織への移行を認めた。

研究要報88(1971.3)

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