村井・青木・木村

 小笠原の漁業振興のため、亜熱帯の特性を生した養殖事業に着目し、適種の選定と将来を見越して輸送技術開発試験及び種苗生産の餌料培養試験を行った。
 漁業の動向は過去10年間の推移をみると、漁法別漁獲量・出漁隻数・CPUEの観点から総漁獲量の変動パターンについて乱獲の徴候はみられないが、底魚類は島周りの漁場で漁獲量の減少と-部の魚種に魚体の小型化がみられる。
 新魚種の選定は統計資料を中心に行い、種苗生産対象として期待が持てる魚種として、キンメダイ・ハマダイ・シマアジ・カンパチ・アオダイ・メイチダイ等があげられる。
 輸送技術開発のため、父島←→東京←→種苗供給先の40~50時間を想定して試験設定した。発泡スチロール箱(62×36×26cm)を用い、ビニール袋にボラを収容し、02ガスを送気した。室内実験では、静止状態50時間で49尾区と105尾区の生残率は100%と0%であった。船舶による実験でも、室内とほぼ同様の結果で揺れの影響は大きくなかった。
 餌料培養試験はシオミズツポワムシ・クロレラについて、飼育水の海水濃度・水温の関係と個体数・密度の関係を求めた。設定各区共大差はなかったが、ワムシは低塩分下で増殖率がよい。

研究要報153(1981.11)

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