佐々木・伊藤・三村・広瀬・塩屋・山峯・倉田・三木・西村

 前報(要報57)に引続き・フクトコブシを主点とした磯根の高度利用と漁場の生産管理方策の樹立を調査の目的とした。今年度は「食性要因」と「すみ場の要因」を主として究明した。調査の場所及び方法は前報(前年度)とほぼ同様であるが、生物環境の調査はさらに詳細な方法とし、逸散・添加調査で標識放流を行う他、摂餌行動調査を別の天然水域で1日の時間変動調査等を新たに加えた。
 「すみ湯」の調査によれば、50~80c㎡の岩石の重なり合い、海底との間に10cm位の空間のある地形にフクトコブシは多く生息する。その他の主要動物も類似した海底地形に多い。
 標識放流は各種の標識を使用したが、銀線を用いたものが再捕率が最もよく30%であった。
 フクトコブシの成長は殻長組成からみて産卵後1年で45mm前後となり、これを境として小型・大型群の2モードができる。1年7~8ヵ月では大型群で占められる。
 水槽内で稚貝の行動を観察したところ、夜行性で、20時と3時頃の2回大きな動きを示し、この間1時頃に不活発の時期があった。天然の夜間調査による冑内容物から19~20時頃と早朝の摂餌行動の峯があると考えられ、主なものは後者と考えられる。

研究要報67(1968.2)

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