古井戸・芳賀・鈴木

 都内湾の化学的組成調査を1954・1955年の2ヵ年度実施し、今後の水産対策資料とした。内湾12点、上・中・下層の採水を行った。
 水温は、東浦は西浦に比し上下層の差があり河川の影響を受け易い。塩素量も水温と同様の傾向を示す。溶存酸素は4~9月表層でしばしば過飽和となる。この時下層で低値を示すことがある。冬期はこの現象は少ない。
 珪酸塩は塩素量とある程度逆行する。亜硝酸塩は4~9月に最小値を示し、燐酸塩は一般に夏高冬低傾向にあるが複雑である。共に1934~1936年の調査に比し増加している。
 アンモニア塩は亜硝酸塩に似て西部海域に多い。可溶性有機物(過マンガン酸カリ消費量)は地点・時期別に大差はない。これらは底質の分解によるところが大と推定される。
 調査結果と海苔漁場の性状について検討すると、漁場としての環境条件は塩素量15%、酸素飽和度80%、PH8.0以下になる変動が少ない程良いと推論した。

研究要報8(1957.3)

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