西村・井上・村井・加藤

 ニジマスのIPN予防のため、β-プロピオラクトン不活化ワクチンを作成し、これを接種し、中和抗体価を測定した。1回接種により抗体価が上昇し、3カ月目にピークとなる傾向がみられた。多回接種で明瞭な上昇がみられ最高1000となった。抗体価上昇には個体差がみられる他、対照区に抵抗価の高い個体もみられた。
 「せっそう病」予防のためヤマメに経口ワクチン21回投与区に1回及び2回のブースター・ワクチンを接種したところ発病の遅延効果があると考えられた。稚魚期に経口ワクチン投与を行った親魚に経皮ワクチンを接種したところ蕊死率が低く、効果を認めた。
 薬剤感受性試験として業者の池より分離した株でサルファ剤耐性がみられたが、大部分は高い感受性を示した。トリプッセンによる治療は病気の早期発見による早期投与が効果的である。
 「せっそう病」診断の迅速化が可能な蛍光抗体法について検討した。現場でアセトン固定を行えば4~30℃の範囲で72時間後まで診断可能であった。
 1976年度に都下の養魚池に発生した魚病は、IHNは発生せず、IPNは奥多摩分場では若干減少した。例年に比べせつそう病による被害は大きかった。

研究要報130(1977.8)

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