大内・山峯・川名・桝内・三河・曽田

 奥多摩湖の水産的利用に資するため、湛水前(1951~1954年)及び湛水後(1957~1960年)の調査を行った。調査は湖沼条件の調査及び在来魚種と湖完成後の放流魚の生態にいての調査に分けて実施し、取りまとめた。
 湖沼調査の結果、水温は表層では3月最低、8月最高が現われるが、底層は周年6~7℃である。透明度は2~6m範囲で中栄養型である。PHは秋~春期は中性に近く、5月以降急上昇する。溶存酸素は春~秋期に飽和状態で、秋~冬期にやや減少する。栄養塩類は燐酸塩が少ないのが特徴である。植物性プランクトンの主体をなすものは珪藻類で、ときに緑藻類が優占することがある。
 魚類調査は漁獲と卵の採集の他聞込みを行い、その結果、生息魚類は5科12属13種であって在来種はヤマメ・ウグイ・アブラバヤである。1959年頃よりアブラバヤの減少と、ウグイの増加が顕著である。産卵期外のヤマメは湖に広く分布するが、その他の魚種は季節・地域的な分布変化は、はっきりみられない。マス類を除く生息魚類の食性は動物性・植物性のプランクトンを広く利用している。ニジマスは陸棲昆虫、ヤマメはワカサギを主餌料とし、共に魚類を食べている。
 産卵はワカサギ・ゲンゴロウブナで確認された。

研究要報32(1963.3)

32.pdf [13739KB pdfファイル]