村井・青木・木村

 小笠原諸島でマダイの種苗生産を行うため、種苗及び親魚の輸送試験を実施した。
 受精卵の輸送予備試験としてビニール袋に酸素を封入する方法で各種の条件と生残の関係を調べた。酸素ガスの吹込み量を多くし、海水層との間に気層を大きくすることで生残率の向上がはかられる。水温は産卵海域の温度を維持することが生残率向上につながる。
 定期客船を利用し、神奈川県より受精卵30万粒を輸送した。容器は発泡スチロール箱を用い、酸素を封入したポリ袋2袋を収容し、数個の氷片を入れた。46時間要したが平均生残率は59.7%であった。
 輸送後の生残卵をふ化養成した。飼育はウオーターバス方式のパンライト水槽を用い、シオミズツポワムシ・チグリオパス・アルテミア幼生を給餌した。50日後に沖出ししてミンチ餌を主体に給餌した。成長は良好でふ化後10日で全長5mm、30日で12mm、48日で34mm、69日で57mmとなった。生残率は33曰で8.9%、48日で8.2%であった。
 採卵用親魚の長時間輸送試験を行った。1981年10月神奈川県長井より調査船「みやこ」の活魚槽に30尾(約30kg)を積み込み、約56時間を要したが、へい死は全くなかった。

研究要報160(1982.11)

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