加藤・西村

 多摩川水系中・上流部における1971~1984年の14年間の魚類の分布状況を明らかにし、それ以前の魚類相との比較により水質汚濁の指標としての魚種を検討した。
 出現魚種は15科36属41種、1雑種であった。これらのうち他水域からの移殖種と思われるのは18種で、本水系で再生産していると思われるのは24種であった。
 本水系の汚濁が進行する1955年以前の魚類分布は主として聞きとり調査により明らかにした。この結果、汚濁非耐忍種としてギバチ・カジカの2種、汚濁耐忍種としてタモロコ・モツゴ・オイカワ・フナ・ドジョウの5種を選定した。
 奥多摩湖から放流される水の影響をみると、本湖の湛水前に比べ湛水後の河川は水温が低下し、魚類分布に大きな影響を及ぼしていた。

研究要報189(1986.3) 

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