古井戸・浅野ほか

 都市や産業の発達により河川の汚濁が急激に進み、このため東京都内湾の漁場も荒廃がはなはだしくなっている。漁場の実態を明らかにし水産行政の基礎資料とすべく1960~1962年の調査結果を報告した。内湾38地点、年6回の調査のほか1961年には海苔漁場に及ぼす陸水の拡散状況も合わせて調査した。
 CODは汚濁限界とした4ppm推定線が年々沖合へ拡大延長がみられた。DOはこれと逆に年々5ppm線が岸に後退していくが、これは春から秋にかけてみられる赤潮の大量発生によると考えられる。NH4-Nは汚濁限界といわれる72μg-atoms/ℓの推定線は、1961年には岸側に後退し、1962年には中部と大正場にや魁張り出した。PHは岸側7.0前後、沖側で8.6前後であるが、赤潮の発生時に9.0前後を示すことがあった。Clについては陸水の混合率からみると年々陸水の拡散が強くなっている。

研究要報42(1964.12)

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