井上・池谷・田中

 サケ・マス類に大きな被害をもたらすIPN・IHNのウィルスに対する消毒剤の殺ウィルス効果を検討した。
 5種類のウィルスを供試した。消毒剤はPVP-I製剤(イソジン)でIPNVでは10ppmの有効ヨウ素量になるよう希釈し、ウイルスとの接触時間を30秒~30分の5段階とした。
 イソジンの殺ウイルス効果はIPNVでは1分以上の接触で完全に不活性化した。IHNVでは株化細胞によりかなり異り、各株化細胞間の感受性の違いを比較できた。両ウイルスの供試株化細胞としてCHSE-214、EPCが適している。
 供試ウイルス液の検討として、両ウイルスの細胞内ウイルス回収に必要な培養条件を明らかにすると共に吸着濃縮法によるウイルスおよび培地成分を含むウイルス液と消毒剤活性阻害について比較した。回収に最適な培養温度はIPとIHで異るが、実験の便宜上統一して15℃とした。最適培養時間はIPで12~13時間、IHで15時間と考えられた。
 細胞破砕法として凍結融解法が導入可能で、IP・IH共に回数は1回で十分と考えられた。CAV液の保存法としてIPでは-20°Cで凍結保存が可能と考えられたが、IHでは1週目に感染力価の低下が認められた。

研究要報166(1983.4)

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