塩屋・西村・大矢・大槻・斎藤・吉田・草苅・岩田・石川

 伊豆諸島海域における廃油等による被害の実態と廃油等の漂流分布、運搬役の海流の変化に関する資料をとりまとめた。
 被害の実態について各島別に1968~1970年の被害事例を表に掲げた。漁業の操業困難、磯根生物のへい死、漁具・漁獲物の汚染、観光価値低下等多面的に被害がみられた。
 廃油ポールの成因を明らかにするため、実験水槽で海水を撹枠し、各種の重油・原油を用いて実験した。原油は200日でポール状となり、A重油は海水中に拡散した。B重油.C重油は150日でポール状となったが、原油より生成量は少ない。
 航空機による流油の分布調査は、神奈川県水試の漁場調査飛行機航跡図より抜すいし作図した。その結果大島~伊豆半島から房総半島にかけて潮目が多く形成され、流油の漂流も多かった。
 廃油塊の分布状況は、調査指導船の航行中の目視とマル椎ネットによる採集により調査した。分布傾向は黒潮本流が伊豆諸島海域から離れ、大きく迂回した場合は湾曲部の内側、縁辺部に多くみられるが、黒潮流路との関連ではまだ明確な傾向を示すまでに至らなかった。
 風向と廃油の漂着の関係は、各島とも年の最多風向にあたる島の西と東側に漂着が多い。

研究要報103(1973.3)

103.pdf [4106KB pdfファイル]