米沢ほか(八丈分場)
 伊豆諸島の基幹漁業であるハマトビウオ流刺網漁業の省力化と操業の安全化をはかることを目的とした。浮子綱捲揚機の導入と昼間操業用漁具漁法の開発を試みた。併せてハマトビウオの生態に関して各種の調査を行った。
 捲揚機はアワクメ製S-3型コーンローラーを原型として5回に亘って改良を加えたが、実用化に至らなかった。昼間操業用として網地をアミランとテグスを用いたが、両者に有意差はなかった。
 ハマトビウオの生態に関する調査は以下のとおりである。(1)魚群の表層分布密度を流刺網のCPUEでみると日中でも分布することが判明し、日周では曰中より夜間に高い場合が多い。(2)垂直分布を知るため延縄・水中テレビ・底刺網を用いたが判らなかった。(3)八丈島沖合の分布を知るため流刺網で3~6海里沖合の調査したところ島周囲とほぼ同程度の密度で分布すると考えられた。(4)食性はメガロッパ等甲殻類・カメガイ科等の浮貝類ほか選択幅は広い。摂餌は日中主体と考えられた。(5)雌雄の組成は雄に片寄る場合が多く、雄のKC値は2~3月ピークとなる。卵巣の成熟段階は4期に分けられ、これから漁期と漁場・産卵期の関係が推定された。(6)卵椎仔を採集するため4型の人工産卵藻と稚魚ネットを用いた結果、海底付近で産卵されているものと推測された。(7)標識放流の結果、伊豆諸島列島線沿いに北上経路があることが判った。

研究要報185(1984.3)

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