田中ほか(奥多摩分場・水産課)

 小河内ダムの低層水の放流により多摩川の上流域が夏期低水温となり、アユの成長に悪影響を及ぼしているといわれている。この関係を知るため表題の一貫として1981年度より水産庁の委託を受け調査を実施した。
 1984年度も前年度とほぼ同様な調査を行った。アユの漁獲高調査は解禁曰のビクのぞきを奥多摩漁協管内と比較のため秋川漁協管内について実施した。アンケート調査は奥多摩漁協組合員を対象に行った。解禁日の平均漁獲尾数は多摩川で2.7尾で過去5年平均より1尾少なく、秋川でも7.6尾と約1尾少なかった。多摩川では御岳発電所より上流が平均並の漁獲があった。アンケートによる奥多摩漁協組合員の出漁日数は1~5回/年が33%と最も多い。地先別にみると多摩川橋付近が最も漁獲尾数が多い。
 奥多摩漁協は椎アユの他成魚アユも放流しているので、区別のため成魚の脂鰭を切除して標識とした。放流成魚は上・下流共にほとんど移動しなかったとみられた。標識魚の体型調査で成長に及ぼす冷水の影響はうかがえなかった。
 水温変動下においてアユの飼育試験を行った結果、曰間成長率は変動区より定温区の方が高い傾向がみられた。

研究要報187(1985.3)   

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