倉田・青木・木村

 小笠原のアオウミガメの回帰率を高める手法の研究を行った。
種苗生産のための採卵には親ガメ37頭を用いた。産卵は5月5曰~8月11日の期間行われた。盛期は7月上・中旬であった。16,165粒を採卵し、穴の深さ約70cmの従来の方法で埋卵した。ふ化率は産出卵で60.0%、胎内15.4%、天然卵33.9%であった。
 放流はふ化稚亀8,835頭をふ化後1週間以内に、未成熟亀を8頭、親亀28頭それぞれ標識をして実施した。再捕は計8頭、うち4頭は産卵回帰、その他3頭は和歌山・高知で再捕されている。
 仔亀の飼育試験を1981年8月より375日間、599頭を用いて実施した。生残率は93.5%であったが、途中4種の疾病が発生し、治療を試みた。原因・治療法等不明な面が多く、今後の課題とした。
 父島列島の産卵状況を調査し、延べ122腹が確認された。推定ふ化率29.1%で、ミナミスナガ二が卵を食害し、ツノメガニがふ化稚亀を食害することが判った。
 父島列島への来遊数を推定すると72頭、捕獲率は13.8%以下と考えられた。

研究要報161(1982.11)

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