西村・井上・斎藤・加藤・工藤

 IPNワクチンの移行免疫の検討を行った。β-プロピオラクトンで不活化したワクチンを供試し、ワクチンを接種した親魚由来のニジマス稚魚を用いた。親魚の中和抵抗価(ND50)は採卵時には接種回数が多い方が高い傾向がみられた。稚魚は6月中旬に発病が確認され、累積へい死率は対照区に最も急上昇がみられたが、試験区では3回接種のl区が緩慢なへい死率を示したが、その他は接種回数に関係なく同一傾向がみられた。
 攻撃試験はIPN発病池の排水口に上記と同様の由来の異る稚魚を用いた。へい死率はワクチン区では明らかに低くなり、ワクチン接種回数の多い程生残率は高くなる。ウィルス検査の結果、CPEの形態からIPNウィルスによる単純感染と考えられた。
 せっそう病ワクチンの経口投与による免疫を賦与するため、ヤマメ稚魚を用いて試験した。試験中同病の流行がみられたのはl区のみで、効果を判定するに至らなかった。
 経口ワクチンを投与したヤマメ稚魚を用い、ASalmonicida感染を汚染水、生菌接種魚との混養、生菌接種の方法によって攻撃試験を行ったが、効果判定までに至らなかった。
 ヤマメ親魚に経皮ワクチン試験を行ったが、せつそう病の出現が散発的で明確な効果判定に至らなかった。

研究要報137(1978.3)

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