鈴木・三村・川名・小倉

 都内江戸川地区のキンギョ養殖池に1966年頃より腹部の膨張する病気が多発し、予防と治療対策がないまま慢延したので、病害の実態把握と発生原因を主課題としてとりあげた。
 養殖業者の池の環境調査の結果、病魚多発池と対照池との差異はなく、病魚発生の要因は見い出せなかった。
 キンギョ腹部膨張の原因は、腎臓組織の異'常肥大によるもので、腹水病と異ることから仮に「腎腫大症」と呼ぶこととした。罹病魚はキンギョ全品種にわたると考える。腎臓重量比(KW/BW)は正常魚で0.02以下、症状の進んだ魚では0.04以上であった。症状の現われる時期は、内部的に体長2.0cm前後からのようで、外形的には8月以降に見分けられるようになる。
 伝染性疾病の可能性を考慮して、感染試験を行ったが、卵感染はないと考えられ、稚魚感染、接種試験では罹病の傾向がみられた。

研究要報77(1970.2)

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