三木・塩屋

 東京湾の水深10m以深の開発を目的として1960年度以降海洋・生物学的な調査を実施しているが、その一環としてプランクトン分布の調査を行った。1960年6月・9月、1961年1月の3回、43点(内9月41点)を北原式定量ネットで採集した。
 組成からみて6月は動物種が多く、9・1月は植物種が多くなっている。各月の分布特性をみると種類・分布種数・分布量の地域的な相異は、ほぼ東西に結ばれる等量線により南北に区分される場合がほとんどで、この線は時期によって南北に上下する。また湾奥部と反対に複雑な地形の湾中央部から湾口部側には特異な分布状態が部分的に認められる。
 種類等が等量線で南北に区分される要因は、流入河川の影響の大きい強内湾性の場所と外洋水の影響の強い場所に分れるためで、その境界が川崎・鶴見~養老川河口に当る。また湾中央部・湾口部に生ずる特異な分布状態は、いずれも湾流によって渦流の生ずる場所である。

研究要報37(1963.3)

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