Ⅰ 昭和34年度ノリ(海苔)沖合養殖実用化試験報告
南部・西坂・神崎・吉野・塩屋・伊藤・稲葉・高松

 継続6年目の試験で、水深7mの沖合で種々の形式・方法で試みた。
 養殖施設の構造は養殖いかだI型は1954年以来改良してきたもので杉丸太を2ツ割に樫棒の支柱を立て、真竹で連結したもので、コンクリート錨を用いた。Ⅲ型はI型の材料を硬質塩化ビニルで代替した構造物を試作した。浮環式はポリエチレン凹型円盤状のものの中に発砲体を入れ浮力をもたせ、ロープで連結し、これを円筒状にノリ網を巻きつけた構造とした。浮流網は東北地方で行われている型式を用いた。即ちしゅろ綱2本で網の張込枠をつくり、網の展張用の浮竹を取付けたものである。
 養殖いかだI型は錨綱に問題を残し、不作のためもあって殆んど収穫はなかった。Ⅲ型は設置・撤去のための労力の軽減にみるべきものがあったが、パイプの上に立てたアングルの折損が多かった。浮環式は網の仕立方もあって予期した円柱状にならなかった。浮流式は耐波性、労力的な問題はなかったが、アオノリの着生が非常に多かった。以上満足な結果は得られなかった。
研究要報26(1960.11)研究要報29(1961.3)二重登載


Ⅱ 昭和34年度東京都内湾のノリ作況について
神崎・末永・伊藤・高松
 作柄の概況は初期にはノリの着生がよく、好況か予想されたが、11月下旬病害が発生し、主生産期の1~2月初旬に収穫がなく、2月中旬以降や、回復したが、全般に不作であった。とくに東部地区(江戸川・江東)が悪い。地域的にみると西部地区は平年の60~70%作で南の漁場ほどよい。中部地区は平年の50~60%で沖より中央部がよい。東部地区は平年の20%でわずかに沖の2~3さくが収穫があるのみである。
 不作の原因は10~12月の高気温・高水温が赤腐れ病(11月下旬)を起こしたものと考えられ、又水質の汚濁の影響に加え、密植の影響等があげられる。

研究要報26(1960.11)研究要報29(1961.3)二重登載

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