159.Ⅰ サケ科魚類の病害防除に関する研究(ニジマスのビブリオ病に対する化学療法剤の使用に関する二・三の知見) Ⅱ 金魚の優良親魚としての1条件について(主として臀鰭に関する考察)
井上・池谷
スルファモノメトキシン(SMM)のニジマスのビブリオ病に対する治療効果を実験した。経口投与実験では薬剤投与量を5段階とし5日間連続投与した。効果判定はAmendのワクチンに用いたものをSMMの有効性評価に応用した。結果は高い治療効果があり、投与量最低の6.3mg/kg区においても死亡魚はなかった。薬浴実験は4通りの濃度に1%NaClを加えた。薬浴回数は1・2回の2通りとした。効果判定は腎臓の細菌検査によったが、1回薬浴では効果が薄く、1%以下で反覆するのが効果的と考えられた。
SMMの薬浴にともなう組織内残留は胆汁中に最も高く、筋肉等は低い。また薬浴毒性は4%以上の濃度で粘液分泌の増加等異常がみられた。
塩酸テトラサイクリン(TC)のニジマスのビブリオ病に対する治療効果を実験した。方法はSMMと同様で投与量を4通りとしたが、効果は投与量の増加に伴ない有効率は上昇し、55mg/kg以上は有効率100%であった。TC経口投与後の組織内残留については肝臓組織内では55mg、110mg投与群とも6時間で最高となり、その後経時的に減少し、定量限界に至るのは5日目である。腎臓組織内では12時間で最高になるが、肝臓の1/4~1/6の値である。TCが検出されなくなるのに15~20日を要した。
吉田・北奥
金魚の優良親魚の条件としての鰭についてリュウキン等の臀鰭と尾鰭の型との関係を調査した。
リュウキンの尾型を正常尾(3型)・不正尾(3型以上)・フナ尾に分けると、親魚に単臀鰭を用いた年は尾型はそれぞれ56.1%、31.2%、12.7%であった。複臀鰭の親魚を用いた年は72.2~75.7%、19.7~21.67%、4.6~6.4%となり正常尾が増加した。
リュウキン他2品種の尾型別に臀鰭の枚数を調べると正常尾の90%以上は複臀鰭で、フナ尾の90%以上が単臀鰭であった。
単臀鰭(単)、複臀鰭(複)の交配による稚魚の尾型と臀鰭は
複×複 フナ尾9、開尾91(正常尾72)% 単×単 フナ尾24、開尾76(正常尾58)%、正常尾で複臀鰭の割合は複×複で88%、単×単で49%であった。
研究要報159(1983.3)
