西村・三木・伊藤・塩屋

 フクトコブシの発生と稚貝の飼育(365日間)を行った。
 産卵誘発には温度刺激が有効で、水温範囲21.8~28.0℃で、低温時に放卵・放精がみられ受精させることができた。受精卵は球形で、卵膜を含めた径が平均196.9μ(184.6~215.4μ)卵黄径
は平均176.7μ(153.9~184.6μ)である。
 発生経過をトコブシと比較した結果若干の相異がみられた。稚貝の成長は30曰で殻長2.0±0.4mm、150日で14.7±2.7mm、270日で21.2±3.6mm、365日で24.3±3.1mmであった。
 天然産フクトコブシの連続採集と今回の飼育との結果から、殻長45mm(都調整規則上の制限殻長)をこえるのは18ヵ月後と推定された。

研究要報73(1969.4)

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