枡内・高橋・川名・中村。小倉・有馬・伊藤

1973年以降実施している内湾に生息する水生生物と水質・底質の実態について1975年度の調査を実施した。
 三枚州における貝類相とアサリの分布状況を従来の方法で調査した。出現種は9種で多様度指数は低く、貝類相が単純化している。アサリの平方米当りの平均個体数は391個で前年の38%に減少している。殻長2.5cm以上のものは個体数で20%であった。
 魚類相は主として投網、マハゼは小型地曳網・釣りにより調査した。投網による採集魚は22種でスズキ66%、コノシロ・ボラで94%を占めた。マハゼの生息密度は5月下旬で15.1尾/㎡と前年より4.2倍と高かったが、7月下旬には前年を下回った。
 水質・潮流は20測点上・下層を8月に観測した。また底土の硫化物の測定を行った。前記の測点でプランクトンの調査を行った。また、底生生物を35測点で調査し、75種を認めた。そのうち多毛類が39種、軟体類20種、甲殻類が8種であった。
 スズキの標識放流を6月~10月553尾を三枚州付近で実施した。
 マハゼに寄生する線虫の実態を調べた結果、種類はThynnascarisと同定された(昨年の結果訂正)。線虫寄生魚は生存限界溶存酸素量が正常魚より高い。

研究要報132(1977.3)

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