101.昭和47年度 太平洋中区栽培漁業漁場資源生態調査報告書
大島分場、八丈分場(西村・塩屋ほか)
太平洋中区における栽培漁業の事業化を目標とし、主要水産生物の分布・生態等を明らかにし、栽培漁業に必要な基礎資料を得ることを目的とした。
マダイの伊豆諸島における水場は年平均4トンで主漁場は新島羽伏浦である。新島では6cm未満の稚魚の生息場所は不明であるが、6~10cmでは生息場所が特定しており、6~7月地曳網や建切網で漁獲される。
新島周辺で漁獲されたマダイの尾叉長は25~35cmが半数以上を占め、GI値が10月に高い個体が現われ、産卵期は再調査の必要を認めた。親魚の標識放流をアンカータグのシャンクとアーム部を筋肉に埋設させる方法で行った。80尾放流後、11日、18日目にそれぞれ1尾を再捕した。
イシダイ・イシガキダイを魚拓記録からみると、南方の島ほど大型魚が釣獲されている。
1972年7月新島の寄網で漁獲されたイシダイは魚体調査により7月頃が産卵期と推定された。
55尾にアンカータグによる標識を行い放流したが、4尾が再捕された。
イシダイの諸年令形質について検討したが、鱗・背椎骨・耳石共に採用困難であった。
イシダイ・イシガキダイともに稚魚は流れ藻について来遊するが、稚魚の消化管内容は、藻に付いている魚以外の動物相と一致する。
研究要報101(1973.3)
