原・井上

 サルファ剤による病魚の治療方法を確立するため、数種のサルファ剤を経口投与したときの組織内濃度の上昇、組織への分布、その持続時間を検討した。
 ニジマス1年魚を用い、5種のサルファ剤をそれぞれ粉末餌料と混合して供試魚に投与し、3~72時間の問9回、血液・肝臓・筋肉・腎臓を採取して組織内のサルファ剤を定量した。
 ニジマスは哺乳動物に比べ吸収が遅く、しかも悪い。スルファメラジン・スルフアモノメトキシンでは吸収がよく、スルフイソミジン・スルフイソキサゾールでは吸収はよいが濃度の減少が速く、スルファジメトキシンでは吸収が悪い。
 サルファ剤の哺乳動物における持続型・非持続型の概念はニジマスではスルファモノメトキシンとスルファメラジンの血漿中濃度の持続にみられるように適用されない。
 アセチル化率は血漿よりも肝臓で高い。

研究要報53(1967.7)

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