西村・塩屋・田中・吉田・斎藤・上田・武藤

 栽培漁業に必要な基礎資料を得るため・昨年に引続き調査を行った。
〔マダイに関する調査〕 新島における幼魚の生息域は、水深1~3m、砂地に根石が点在し、主に紅藻類が繁茂したところで、地曳網で6月・7月に幼魚がとれた。春先には親魚もとれているので、幼魚と親魚の生息場所が-部重複の可能性もある。
 鱗を用いた年令査定と成長の関係L=74.93〔1-e-0.1031(t+0.4798)
 体重と尾叉長の関係W=4.290・L2.802×10-2新島産
          W=2.857・L2.890×10-2大島産
 産卵親魚は大島産で5・7月に、新島産で5・6月にGI値の高い個体がみられた。
 発育段階別の食性も明らかにした。
〔イシダイ・イシガキダイに関する調査〕 流れ藻から採集し池中養殖したイシダイ・イシガキダイ幼魚を標識放流したが、2尾、80日後0.5~1.8km離れた場所で再捕された。10cm前後の幼魚の分布に関し水槽実験の結果、両種とも暗所に集合し、その性質はイシガキダイの方か強い。目視による波浮港内の稚魚の天然分布はイシダイの方がイシガキダイより多かった。幼魚の摂餌量、漁業の実態等も調査した。

研究要報109(1974.3)

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