58-1.浅海増殖開発事業効果認定調査(その5)
大島差木地送信所下テングサ投石地のトコブシ生産効果

倉田・三木・西村
 1965年までの投石によるトコブシの生産効果及び生態調査は前2報で報告したが、1966年も引続き調査を実施した。2~12月の間毎月1回潜水により枠取り調査し、大島の他の投石地、三宅島の投石地も併せて調査した。
 送信所下の大型群は殼長5.00~5.49cmに組成の山があり、三宅島、他の天然礁、投石地に比べて小さい。送信所下のトコブシは4.00cm前後までは順調に成長するが、その後は成長が鈍る。
 枠取量(3×3m当り)をみると、三宅島では天然礁で平均1520g、投石地1586gで投石地がわずかに多い。送信所下は2月に692g,7月269g,9月485gで少なく、年々減少している。

58-2.浅海増殖開発事業効果認定調査(その5)
築磯事業におけるテングサ生産効果

倉田・三木

 テングサの増殖を目的とした築磯事業として最も効果のあがっている大島泉津漁協の事業について報告する。
 戦後の投石事業は1953年より1966年に至る14年間に9カ所延27回、5,303㎡、金額1259万円で実施された。
 投石、コンクリート盤石のテングサの着生量、草丈は1958年以後、年によって差はあるが共に上昇傾向を示している。投石地は8~9年で着生量900g/㎡、草丈190cmとなり主漁場と利用される。盤石は投石に比べ劣った結果がでている。
 投石地における近年の春草の水揚量は、1964年11.8トン、1965年17.9トン、1966年15.8トンであった。投石地全域の水揚量は同じく、7.4トン(13.5%)、9.2トン(16.0%)、17.6トン(27.0トン)で総水揚量に占める割合みらみても投石地の役割は大きい。 

研究要報58(1967.3)

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