内湾調査平成31年1月 浅場に生息するエビジャコ

内湾調査平成31年1月 浅場に生息するエビジャコ

平成31年1月15日に小型底曳網調査を行いました。この時期、甲殻類のエビジャコ属Crangon spp.がよく採集されます(写真1)。普通のエビと比べると、角の部分が短く、体が背腹に平べったく、鋏が普通のエビと違う不完全な形(亜鉗もしくは捉鉗と呼ばれる)なのが特徴です。上から見ると、他のエビ類(ヌマエビやスジエビ、クルマエビなど)が頭の先が尖っているのに対し、エビジャコ属は先端が平べったい棍棒のようなシルエットをしています。このため、一見エビ?にもシャコ?にも見えることから、標準和名で○○エビジャコと呼ばれます。
 なお、エビジャコは漢字で書くと「蝦雑魚」という名前から、あまり重要視されていなかったことが伺えますが、国内の地域によっては水揚げされる種類もいる他、北ヨーロッパでは北海のエビジャコ漁業が「持続可能で管理されていて、流通・加工過程が明らかなこと」を証明するMSC認証を取得するなど、資源管理に力を入れるほど重要な漁業対象種となっています。
 東京湾にはエビジャコ属としてカシオペエビジャコCrangon cassiopeやウリタエビジャコC. uritai、エビジャコC. affinisなどの複数種が報告されています。今回、多摩川河口左岸のSt.1で採集された個体は、第一歩脚掌節と幅の関係からウリタエビジャコと推定されます(写真2)。

 31年1月写真1.jpg     31年1月写真2.jpg
 写真1 St.1で採集したウリタエビジャコとヒメイカ  写真2 第一歩脚掌節は幅の3倍強(分類根拠の一つ)

◆参考
 林健一. 2009. 日本産エビ類の分類と生態(168)エビジャコ上科・エビジャコ科-エビジャコ属①.
 海洋と生物185,31(6), 640-645.

 調査地点.jpg
  図1 調査地点

  平成31年1月15日内湾水質調査結果
 
31年1月調査結果.jpg

このカテゴリー内の他のページ