内湾調査令和6年6月3日 お台場に大量のニクハゼとマハゼ / 砂浜に残る痕跡

内湾調査令和6年6月3日 お台場に大量のニクハゼとマハゼ / 砂浜に残る痕跡

6月3日の小型底曳網調査において、St.5にて大量のニクハゼGymnogobius heptacanthusが採集されました(図2)。本種はこの時期に表層を群れで泳ぐので、時折大量に採集されます。そのため、東京湾便りにおいても令和2年7月や、令和3年9月に記事にしているとおり、本調査でもおなじみの魚です。稚魚は身体が薄いピンク色に見えるためにニクハゼと呼ばれているそうで、写真(図3)でも薄いピンク色になっている様子が分かります。

6月8日には、お台場海浜公園で開催された「東京ベイ・クリーンアップ」にて水生生物観察会を開催しました。岩場での採集に加え、St.5より浅瀬に位置するお台場海浜公園の浅瀬で、曳網による生物採集を行いました。スズキLateolabrax japonicus、サッパSardinella zunasi、クロダイAcanthopagrus schlegelii、クサフグTakifugu alboplumbeusの幼魚などが採集されましたが、その中でもマハゼAcanthogobius flavimanusが8割以上を占めました。ニクハゼは浮上性の生態をしていますが、マハゼは主に海の底で生活する底生性の生態をしています。この違いによって、お台場のような狭い海域でも分布の違いが表れているようです。

また、浅瀬での曳網は人力で行っていますが、お台場の浅瀬は所々に窪みがあって、柔らかい泥が詰まっているため、足を取られてしまいます。潮が引いて干潮になると、窪みから泥が流れ出して、幾つもの大きな穴が空いていたことが分かります(図6)。お台場海浜公園では潮干狩りをしている人も多いですが、それにしては水深の深いところまで穴があり、数も多く、そしてどれもすり鉢状です(図7)。これはアカエイHemitrygon akajeiが浅瀬を掘った形跡だと思われます。アカエイは餌を探すときや身を潜める時に、ヒレを使って穴を掘るそうで、その跡がこうして残るようです。こうして潜んでいるアカエイをうっかり踏みつけると、毒のある棘が付いた尻尾に叩かれてしまいますので、深いところを歩くときには注意しましょう。

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図1 調査地点図

 

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図2 St.5で採集された大量のニクハゼ

ニクハゼ(とニホンイサザアミと思しきイサザアミ類).jpg図3 ニクハゼ(とニホンイサザアミと思しきイサザアミ類)

お台場海浜公園での曳網調査で採取されたマハゼなど.jpg
図4 お台場海浜公園での曳網調査で採取されたマハゼなど

お台場の浅瀬での曳網調査で採集された魚の幼魚.jpg
図5 お台場の浅瀬での曳網調査で採集された魚の幼魚

普段は海面の下にある砂浜に空いた穴の数々.jpg
図6 普段は海面の下にある砂浜に空いた穴の数々

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図7 干潮時に現れる砂浜に空いた穴

 

 

令和6年6月3日内湾水質調査結果

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